心配する男性とウィルス
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ヘルペス(単純疱疹)や帯状疱疹治療薬のゾビラックスは、世界初の抗ウイルス薬です。ペニシリンなどの抗生物質では、ウイルスの増殖を抑えることができません。これに対してゾビラックスは、体内でヘルペスウイルスが増殖するのを防ぐ働きがあります。病原体の増殖を阻止することにより、ヘルペスや帯状疱疹を治癒させることが可能になりました。この薬の有効成分(アシクロビル)はウイルスのDNAが合成されるのを防ぐ作用を持ち、遺伝子を作成する過程を阻止することで増殖を防ぎます。

30年以上使われているゾビラックス

ゾビラックスの有効成分のアシクロビルは、抗ウイルス作用によってヘルペスウイルスの増殖を抑えることができます。1947年に世界初の抗生物質のペニシリンが発売されてから、メカニズムの異なるいくつかの種類の抗生物質が開発されてきました。抗生物質のおかげで、細菌・原虫・真菌(カビ)が原因で起こる感染症のほとんどは完治させられるようになりました。ただし抗生物質はウイルスに対しては効果がないため、ヘルペスなどのようにウイルスが原因で起こる病気を治療することはできませんでした。

1980年代に入ってから、アシクロビルと呼ばれる抗ウイルス薬を有効成分とするゾビラックスが発売されました。1988年には日本国内でも発売され、この薬は現在に至るまで30年以上もヘルペスの治療に使われ続けています。以前はヘルペスウイルスが原因で発症する病気の治療で、対症療法しか治療手段がありませんでした。抗ウイルス薬が実用化されたおかげで、病気そのものの治療ができるようになりました。

ゾビラックスは30年以上にわたり世界中で使用され続けており、有効成分のアシクロビルは高い安全性が確認されています。一般的に抗菌効果の高い抗生物質は腸内細菌も殺菌してしまうため、下痢などの副作用が出やすいという問題があります。アシクロビルはウイルスの増殖を抑制する働きがありますが、細菌に対しては殺傷力を持ちません。このため、抗生物質(抗菌剤)のように強い消化器系の副作用が出にくいというメリットがあります。アレルギー反応を起こす頻度も少ないので、安心して服用することができます。

ゾビラックスの服用方法ですが、飲み薬であれば成人であれば1日5回に分けて服用します。子供は1日4回服用しますが、一定時間ごとに薬を飲むようにすると効果的です。治療期間は5日間で、通常は薬の服用を開始して2~3日程度で症状が改善します。

ゾビラックスには病原体(単純ヘルペスウイルス)を殺傷する効果はなく、感染した細胞内で増殖を抑える働きをします。このため、ウイルスの数が少ない初期の段階から服用を開始した方が効果的です。ヘルペスの患部は最初に小さな水ぶくれが(水泡)がたくさんできてから、数日後に潰瘍(びらん)ができます。水ぶくれができて痒みを感じた段階で薬を飲み始めると、重症化せずに短期間で治癒させることができます。重症化させないために、初期症状に気づいた段階ですぐに治療を開始することが大切です。

ゾビラックスが効くメカニズム

ゾビラックスの有効成分のアシクロビルは体内でウイルスが増殖するのを防ぐ働きを持ち、これにより病気の治癒を早めることができます。抗生物質は細菌の細胞内にある器官(リボソームなど)の働きを止めるなどして抗菌効果を発揮しますが、構造が単純なウイルスには効果がありません。そのためアシクロビルが体内で単純ヘルペスウイルスの増殖を抑えるメカニズムは、抗生物質とはかなり異なります。

ウイルスは細菌と比べると構造が非常に単純で、タンパク質の殻の内部に遺伝情報が記録されたDNAまたはRNAを含む粒子です。自身で増殖をすることができず、宿主の細胞に寄生してコピーを大量生産して増殖します。生物の遺伝子には情報が記録されていますが、基本的な仕組みはコンピュータのデータとよく似ています。コンピュータは0と1の信号でデータが保存される仕組みで、磁気(HDD)や電子の有無(フラッシュメモリなど)で記録されます。生物の遺伝子はアミノ酸の種類によって信号を記録する仕組みになっていて、4種類の塩基がアミノ酸の鎖に結合したものが遺伝子(DNAまたはRNA)です。

ウイルスが増殖をするためには、まず最初に宿主の細胞の遺伝情報を不正に書き替えてから自身のDNAまたはRNAのコピーを作成します。遺伝子のコピーを作成する方法ですが、記録すべき情報に応じて4種類の中で適切な塩基を順番に遺伝子の鎖に結合させてデータを書き込みます。

DNAは、アミノ酸が順番につながった鎖のような構造になっています。鎖を構成するアミノ酸には、両側に化学結合する2本の“手”が付いています。これはあたかも両端に連結器を持つ客車のように、一方を既存の鎖に結合してもう片方に新たなアミノ酸に結合することで長いDNAの鎖が作られます。

アシクロビルはウイルスに感染した細胞内で酵素の働きによって、アシクロビル三リン酸に変換されます。この化学物質はDNAの鎖を構成する材料のひとつであるデオキシグアノシン三リン酸とよく似た構造をしていますが、化学結合をする官能基の“手”が1つしかありません。車両の一端にのみ連結器を持つ車両のように、これが作成途中のDNAに取り込まれると次のアミノ酸が結合できなくなってしまいます。アシクロビルは細胞内で作成途中のDNAに“キャップ”をすることで、次のアミノ酸が結合することができずに長さが不足します。DNA鎖の長さが不十分だとデータの保存容量が不足してしまうため、ウイルスを正確に複製することができなくなります。

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